M&Aの流れ 徹底解説 – #02. M&A業者との契約~基礎情報の提供
2つ目の段階:マッチング・交渉段階
1.M&A仲介業者との契約
買収側
買収側の企業が、独自の調査でシナジーが得られると考える、買収側企業にとって有望な企業に直接アプローチをかけるケースもありますが、一般的には、具体的な相手先が決まった段階でM&A仲介業者と契約を結びそのサポートの下で交渉を開始します。
売却側
売り手企業は、相手先企業を探し始める時点か、買い手側からのオファーを受けた時点でM&A仲介業者との委託契約を結び場合が多いです。今までは着手金をとる仲介業者も多くあるなか、完全成功報酬制の業者も増えてきています。
2.相手先の選定
買収側
買収側は、仲介業者が提示するノンネームシートや、独自の調査をもとにして自社にとって有益な企業を探します。
また、コスト面も重要な検討ポイントであり、顕在的・潜在的な売却ニーズ、株主構成、想定される買収価格などを基礎にして買収の実現可能性を探っていきます。
売却側
交渉相手を探す段階では、企業名が特定できないような形で案件の概要書を作成し、買主候補に提示します。
こうした概要書はノンネームシートと呼ばれ、業種や本社所在地・事業規模・業績推移・売却理由・売却希望価格・想定されるM&Aスキーム(方法)などが書かれます。
自社の売却を希望しているといことが早い段階で発表されてしまうと、事業に悪影響が及んだり、株価上昇などの環境変化によってM&A交渉が難しくなってしまったりすることもあるので、
企業名を伏せたノンネームシートという形で情報を提示します。
3.秘密保持契約の締結
M&Aを進めて行くうえで、詳細な内部情報の交換が必要になっていきます。
しかし、企業内部の詳細な情報は企業にとって外部に漏れてはいけない情報であることも多いため、秘密保持契約を締結します。
秘密保持契約は買い手側と売り手側の間で直接交わされる場合と、仲介業者を介して交わされる場合があります。
M&Aでは、(特に後述のデューデリジェンスの過程で)多量の秘密情報が交換されることになります。そのため、秘密情報の定義を
この段階で開示される情報に限定せず、広く取っておくのが通例です。
4.基礎情報の提供
IM・プロセスレターの提示
ノンネームシートを介してアプローチしてきた買い手側企業に、秘密保持契約を結後した上で詳細な情報をまとめた資料(インフォメーション・メモランダム、略してIM)を提示します。
買い手側が入札方式での交渉を選択する場合、IMとともに入札に関する手順・ルール・スケジュールなどをまとめた資料(プロセスレター)も提示します。
交渉を通じた情報開示
ノンネームシートを介さずに買い手側のアプローチで交渉が開始された場合、情報開示も買収側・売却側の交渉次第ということになります。
買い手側からは買収内容の提案書や開示を依頼する資料のリストなどが提示されます。また、面談・交渉が行われることもあるでしょう。