M&Aの流れ 徹底解説 – #01.事前準備~M&A業者の選定
M&Aの流れの大きな3つの段階
M&Aの流れは大きく分けると3段階です。
それぞれの段階における買い手・売り手の流れを検討します。
1つ目の段階:検討・準備段階
2つ目の段階:マッチング・交渉段階
3つ目の段階:最終契約段階
本記事では、1つ目の段階:検討・準備段階について取り上げます。
1つ目の段階:検討・準備段階
M&Aは目的ではなく手段です。M&Aを通して実現すべき目標があいまいなままで交渉に進んでしまうと、コストやリスクの評価が
いいかげんになってしまったり、売り買いそのものが目的化してしまったりして、不満足な結果や本末転倒の事態に陥りかねません。
したがって、事前準備の段階から買収・売却後のビジョンを視野に入れて検討を進めていきましょう。
★自社での事前準備
『買収側』
●買収の目的は何であるのかを考えます。
●買収先の業界や条件等、自社にとって相互成長できる分野を検討します。
●自社の現状を分析し、買収目的にマッチする事業はどういった相手先であるのかを明確化しながら、戦略を検討します。
そして、交渉相手の条件や買収方法をある程度絞り込んでいきます。
M&Aの交渉相手は自分から探す場合と、M&A専門業者(例えば金融機関のファイナンシャル・アドバイザリー部門)などから売却案件として持ち込まれる場合とがあります。
いずれにしても事前に戦略の検討や条件の絞り込みをしておくことが有用です。
その際の情報源となるのは、インターネット上の情報、業界誌、アナリストレポート、リサーチ会社の提供する企業データベースなど、多岐にわたります。
営業担当者が取引先や展示会などから持ち帰る情報も有用な場合があります。
『売却側』
●売却の目的を整理します。
●決算書・財務三表(P/L・B/S/・C/F)を過去三期分ほど揃えておくと、交渉や価値算定がスムーズになります。
●譲渡対価の金額はもちろん、譲渡のタイミングや譲渡後の役員・従業員の待遇、自社商品・ブランドの引継ぎはどうなるのか、経営者の引退後の生活
(退職金・個人保証の解消など)といった、具体的な目標・条件まで事前に考えておくことで、より満足度の高いM&Aにつながる可能性が高まります。
また、交渉でアピールポイントとなる側面(収益力、技術力、財政基盤など)と、弱みとなる側面について整理しておくことも有用です。
★M&A業者の選定
M&Aを遂行するためには、専門的な知識が必要です。また、交渉や手続きの進行は複雑です。
したがって、M&Aの準備段階から交渉に入るまでのいずれかの段階でM&A専門業者と委託契約を結ぶことになるでしょう。
専門業者にはいくつかのタイプがあり、業者ごとに業務範囲や料金体系などが異なるため、委託先の選定は大きなポイントです。
業者により料金体系はそれぞれで、完全成功報酬という例もあります。
M&A仲介会社の料金体系は、「着手金」「中間金」「成功報酬」の3種類です。
「着手金」「中間金」のお支払いが発生せず、完全成功報酬制のみの会社もあります。
そして、昨今では中小企業の後継者不足や廃業件数増加をうけ、国は事業承継を促進するための数々の政策を打ち出しており、
M&Aに関する相談先として全国各地に事業引継ぎ支援センターを設置しています。
事業引継ぎ支援センターでは、M&A交渉の進め方などに関する助言や、FA・M&A仲介業者・マッチングプラットフォームへの紹介・
登録代行などのサービスを無償で行っています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で休廃業企業数が増える中、素晴らしい技術や人材等の経営資源の散逸を回避し、
事業引き継ぎを後押しするための国による事業継承・引継ぎ補助金もございます。
この機会に補助金を活用してのM&Aを検討されてみてはいかがでしょうか。
参考ページ
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html