上場企業のTOBについて

TOBとは何か？

TOBとは、主に上場企業を買収する際、経営件を獲得するために行われるものです。

株式を取得するとどうなるか？

①発行済み株式の33％（3分の1）超を取得すれば、重大な決定事項を拒否できる。

②50％（2分の１）超を取得すれば、社長をはじめとする役員の選任をおこなうことができる。

③約66％（3分の２）以上を取得すれば、会社を解散・合併することができる。

TOBのメリット

TOBをする側のメリットとしては、期間、価格、株数をあらかじめ定めて買い取れるという点です。通常の市場取引で経営権をとるために株式を買い集めようとすると時間がかかり、出来高もない中で市場価格の変動によりその予算額が大きくずれる場合があります。このような価格変動リスクを抑える手段としてTOBを利用します。

TOBをされる側（株主）のメリットは、短期間で大きなリターンを得ることができることです。TOBではスムーズに買取を行うため、多くは買取価格を市場価格に＋プレミアム価格を乗せた状態に設定します。

TOBのデメリット

TOBをする側のデメリットは、される側（主に経営陣株主）に抵抗の意思がある場合、損な取引にされてしまうリスクがあることです。

ひとつ例では、TOB先の企業が買収後、もともといた株主の権利により大量の新株を購入できるようにしておく（実質株式の希薄化）などがあります。

良好関係ではないTOBを『敵対的TOB』、お互いが合意の上で行うTOBを『友好的TOB』といいます。

TOBをされる側（一般株主）のデメリットは、経営陣株主が上記のような対策をとった場合、同様に損をしてしまうリスクがあることです。

自己保有してる株がTOBされるとどうなるか

もし、自分が持ってる株にTOBがかかったら何も困る必要はありません。TOBをしてきた企業、TOB価格などを確認し、どうするかを考えましょう。大体の場合は発表された価格まで市場内で変動がおき、自分のタイミングで売却を選択することができます。通常の市場売買で売らない場合は、TOBに申し込んで売却するか、そのまま保有するかになります。

最近のTOBニュースについて（2022年10月現在）

2022年9月29日にアクセンチュアは、ALBERTの株式などを公開買い付けすると発表しました。当時1株の価格は約4,600円ほどでしたが、買い付け価格は9,180円と発表されました。ALBERTはアクセンチュアの完全子会社となり、上場廃止になる予定です。買収の目的としては、高度人材の確保を通じて、今後の成長戦略につなげる予定。

まとめ

TOBとは、株式公開買い付け（Take Over Bid）の略称で、上場企業の発行する株式を通常の市場売買ではなく、『期間』、『株数』、『価格』を提示して、市場外で一括して買い付けることです。

自分の保有株がTOBされた場合は、市場で早めに売ってしまいましょう。通常、TOBが発表されると、その株式の市場価格は市場売買を通じて、TOBの買い取り価格近くまで上がります。TOB価格では売れないかもしれませんが、TOBが中止されて株価が元に戻る可能性や、TOBまで待つと現金化に時間がかかることを考えると、TOB発表後に市場で売るのが最もおすすめの方法となります。