持ち株比率と株主権利について

M&Aノウハウ
2022.09.21

株についての理解を深める

株(株式)とは会社が事業に必要な資金を調達するために手段として発行しているもので、お金を出資してくれた人(投資家)にその金額に対して渡されるいわゆる会社の権利のようなものです。

上場企業であれば証券会社を通じて一般の人でも、そのタイミングで購入することが可能です。

株式を持っていることで、その会社が利益が出た場合一部を配当金として株主に還元したり、優待制度がある会社なら会社の製品や割引などが受けることもできます。

また株の価値は持っている間に変動し、それらを売却することによって利益(または損)を得ることもできます。

株主の権利について

株主の3つの権利

株主は出資した金額に比例した数の株を保有し、その持ち株に応じて様々な権利を持つことができます。日本の会社法上の株式会社では、株主の権利は、次の通りです。

●剰余金配当請求権

●残余財産分配請求権

●株主総会の議決権

 

また、株主の権利は『自益権』であるか『共益兼』であるか、『単独株主権』であるか『少数株主権』であるかによって分類されます。

 

>自益権

株主個人の利益だけに関係する権利で、主とされる権利三つのうちの、配当を受ける「利益配当請求権」、会社が倒産した時などに残った財産の分配を受けられる「残余財産分配請求権」などがあります。

 

>共益兼

株主が会社の経営に参与するための権利で、主とされる権利3つのうちの一つで、株主総会に参加して議決に関わる「議決権」があります。その他の権利は株の保有率で異なり、株を沢山保有しているほど、会社に影響を与える権利となります。

 

>単独株主権

1株でも保有していると認められる権利

 

>少数株主権

一定割合以上の株を持っていないと認められない権利

 

自益権はすべて単独株主権であり、共益権は、議決権は単独株主権ですが、それ以外は、単独株主権であるものと、少数株主権であるものとがあります。

持ち株比率により異なる

ここからは、持ち株比率とその権利について解説していきます。

 

持ち株比率について

持ち株比率とは、その会社の発行済み株式総数に対して、株主が保有する割合のことです。

この保有率で、どの程度、会社経営に参加できるかが明確になるので、株主や会社経営者にとって重要な割合です。

原則として会社の株を1株または1単元でも保有していると、議決権が一つ与えられますが、株主総会収集請求権や株主総会招集権、株主提案権にはある一定以上の持ち株がなければその権限はありません。

 

持ち株比率は、下記数式で求めることができます。

 

持ち株比率=(保有株式数÷発行株式数)×100

 

会社のか発行株式数が10,000株で、株主Aさんの持ち株が300株であれば、(300÷10,000)×100=3%の持ち株比率、持ち株が1,000株であれば(1,000÷10,000)×100=10%ということになります。

 

持ち株比率別の権利

 

普通決議では、役員報酬の額を決めたり、会社の余剰金を株主に増配したりなど使い道を決めることができます。

 

ただし、それ以上の特別決議については単独で通すことはできないのでそれらを考慮すると、2/3以上の持ち株比率があれば、特別決議ができ会社の重要事項を一人で決めることができます。

 

具体的には重要度の高い決議事項である、定款の変更や解散、合併、事業譲渡など、会社組織に関する事項を決める事ができるので、一人で会社経営する方や中小起業のオーナーならこの持ち株比率を保持しておきたいところです。

株式用語解説

大株主

大株主とは、具体的に何%以上の株式を所有していなければならないという決まりはないものの、企業の株式の持ち株比率が高い株主のことを表す言葉です。

 

主要株主

主要株主とは、企業の議決権のある発行済株式の100分の10以上を保有する株主を表す言葉です。

 

筆頭株主

筆頭株主とは、企業の議決権のある発行済株式の最も多くを保有している株主を表す言葉です。

筆頭株主だからと言って、必ずしも多くの権限を持っているわけではなく、株式の保有率で権限は変わってきます。

会社経営に必要な持ち株比率

安心して経営するに必要な持ち株比率は、2/3以上であることが重要です。

先述しましたが、2/3以上の持ち株比率であれば、会社の経営に関わる重要な決議を社長の裁量と判断で行うことができるからです。

株式が創業者の家族、親族などに分散されていて、社長自身が2/3以上の株式を保有していないこともあります。

 

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